ディップコーティング前の洗浄について
コーティング前の洗浄とは
ディップコーティングで処理をする前に大事なことの一つに洗浄処理があります。
コーティング結果がうまくいかない場合、コーティング前の洗浄改質処理を疎かにしている場合が多く見受けられます。
エコートプレシジョンでは、ディップコーティングに必須な処理工程である洗浄改質装置も、これまで多く手掛けて参りました。
【ウェット洗浄】
【ドライ洗浄】
洗浄の目的としては主に以下の2つが大事になります。
- ワークの汚れを落とすための洗浄
- コート液の密着性を上げるための表面改質
これらの工程は目に見えない領域のため十分な理解が得られず、処理工程が疎かになりがちです。
洗浄の重要性
より良いコーティングを実現するためにコーティング前の洗浄は欠かせません。
ワークにコンタミや油分などが付着した状態でのコーティングは様々な問題の起因になります。
また、洗浄後のワーク表面に密着性向上のための表面改質を行うとワークへのコーティングが飛躍的に向上します。
良いコート膜とは、
- 綺麗な膜であること(膜ムラ・液タレ・欠損・偏差が少ない)
- ワークへの密着性が十分であること(剥がれにくい)
これらを実現させるためには、洗浄改質処理が必須となり、コート膜の性能を十分に発揮させるためにも必須な要素と言えます。
ディップコーティング前の洗浄フロー例
- 洗浄剤超音波洗浄
- 市水リンス超音波洗浄
- 純水リンス超音波洗浄
- 水切り乾燥
-
- ワークに付着している成分に応じて洗浄剤と液温を決める
- 表面の仕上がり要求度に応じて槽の数を決める
- 汚れの固着具合に応じて最適な周波数を選定する
ウェット洗浄
超音波洗浄について
代表的なウェット洗浄として、超音波洗浄があります。
超音波洗浄とは、キャビテーションと呼ばれる気泡が破裂する際の衝撃波を利用する洗浄方法で、ウェット洗浄では最も一般的な方法です。
油分や乾燥し固着している汚れ、コンタミ・埃などの除去に有効とされています。
付着している汚れ成分により洗浄液を選び、汚れの大きさにより周波数を選択することが大きなポイントになります。
右表のことから実験装置では40kHz前後の周波数帯を選定することが多く、生産装置では初めに低い周波数帯で処理をした後に、後ろの工程に行く程、周波数帯を上げることで、大きな汚れから微細な汚れまで除去できるものとなります。
[周波数別のパーティクル除去率]
サイズ | 25kHz | 40kHz | 75kHz |
7μm | 90% | 90% | 70% |
5μm | 80% | 90% | 90% |
3μm | 80% | 90% | 90% |
2μm | 70% | 80% | 90% |
1μm | 60% | 80% | 90% |
ドライ洗浄
UVオゾン洗浄改質について
代表的なドライ洗浄として、UVオゾン洗浄改質があります。
UVオゾン洗浄改質とは、低圧水銀ランプから発せられる紫外線で、185nmと254nmの主波長とし、185nmはオゾン線、254nmは殺菌線と呼ばれ、洗浄や改質、殺菌などに使用されています。